先日札幌市交通局の交通資料館にて展示されている地下鉄の試験車「はるにれ」をハイアングルで撮ったものをご紹介しましたが、今日は第四次試験車であるすずかけをご紹介です。
すずかけは札幌市営地下鉄の第四次試験車で、車体こそは無蓋車ながら走行システムなどはすでに1号編成とほぼ同じという車両。しかしその内部に関してはほとんど資料も写真もないのが実情。そんな中先月長期休館を前に見に行ったところ、窓が一部破れており、そこから無理やり背伸びをして内部を撮ってみたところ、手前の機器類が邪魔になってあまりよく撮れませんでした。そこでリニューアルオープンまでに修繕されてしまうかもしれず、そうなれば内部をきれいに撮るチャンスはなくなってしまうと思い、改めて一脚を持参した上で撮影に挑んでみました。
ではまずそのすずかけです
なんだかトレーラーのような印象を受けますが、2両1ユニットで連接台車式の車両です。無蓋車なのは重しの積み下ろしを円滑にするため。それまでの車両は案内軌条式できちんと走行できるかどうかという基本的な部分での開発を目的としたものでしたが、ここまで来ると走行システムの確認など最終チェックを行うだけだったという感じがします。最終確認を行うためという位置づけだったためか、前回ご紹介のはるにれと違って座席の類は一切ありませんね。人を乗せることは考慮していない車両ということになります。
元々ついていたものなのかは不明ですが、こちらのタイヤには溝があります。元々ついていたものをそのまま履き続けているのであれば、屋外の試験場を走っていた故の装備ということになりますね。
一体どんな感じで、どんな音で走っていたんだろう・・・と気になるのですが、今のところこれの動画って見たことがないんですよね。今なら動画でも静止画でも簡単に撮れますが、当時はそういう時代ではなかったですからね。 ちなみに電車として製造されたのもこのすずかけのみで、あとは廃バスの改造やガソリンカーでした。なので案内輪式で第三軌条方式の車両というのもこのすずかけが初となります。
さてその内部を見てみましょう。 今回は一脚にカメラをつけ、一脚を伸ばしてその足を手でつかんでセルフタイマーで撮るという方法で撮影に挑んでみました。なんだか沈没船の潜水調査とか、原発の原子炉の調査でもしてるかのような感じでしたが、ではまずこちらから
先月もチラリとご紹介しているんですが、さすが道具ですね。前回は邪魔になっていた機器類をクリアしてしっかり内部を撮ることができました。
なるほど、右側にスイッチ類がダァァっと並ぶのは量産車同様ですね。ただやはりブレーキは機関車のブレーキ弁のようなものがついていて、この後製造になる1000系とはちょっと違うタイプだったようです。
さてカメラを少し左に振ってみました。そうすると見たことのない光景が。
なんと横向きの座席に机というか作業台のようなものがあるじゃないですか。 子供の時から見ているすずかけですが、内部をこうして見たのは初めてでした。 また車両奥へ通じるドアもあったんですね。しかも開いています。 おそらくここに機器類を搭載して計測を行ったり分析作業を行っていたのでしょう。マヤ34やキヤ検みたいな感じだったのだろうと思うのですが、座席の背後にも机のようなものがありますので、ここにも測定用の機器類があったものと思われます。
今度はフロントに回ってみました。フロントガラスの横にある通風口がちょうどカメラの入る大きさで開いていたのでそこからカメラを突っ込んでみました
これが一番内部の様子が分かるのではないかと思いますが、左の座席が先ほどの運転席となります。配線類が今も残っていますが、これらのケーブルが様々な測定機器につながっていたのでしょう。詳しくは見ていませんが、もしかすると台車などに今もセンサー類があるのかもしれません。
さて私はブレーキは見えるのにマスコンがないのはなぜだ?と気になっていました。そこで運転席の窓ガラスにカメラをつけて撮ってみたんですが、そこから見る運転台はこんな感じでした。
ガラスが汚くてきれいな画像ではないんですが、マスコン・・・のようなものが見えます。しかしどうやら第三次試験車のはるにれでは既に1000系のような運転台になっていたのにこちらではマスコンが市電を思わせるようなものになっていたようなんです。ようは引っ張ってノッチを上げるのではなく、回してノッチを上げるタイプです。しかもハンドル類はついておらず、マスコン自体もほとんどが失われているようです。
ひょっとすると交通資料館に展示してある1000系は以前内部を公開していたものの、部品の盗難にあい、その結果非公開になったという経緯があるようですが、こちらも部品の盗難にあっているのかもしれませんね。 ちなみに1000系の方は仕方なく2000系の部品を使って修繕を行って展示してあるようで、かなりの部分で2000系の部品を使っていると聞いたことがあります。ほんの一部の悪しき連中のために大勢が迷惑をするいい例と言えるでしょう。
さてついでに車体部分をハイアングルで撮ってみました
なんだかトラックの荷台みたいな感じですが、内部は物置のような感じで使われているようです。展示車両という扱いではないですね。 大先輩の上を現在は後輩がお客さんを乗せて日々行き来している、この先輩には現在の車両はどのように映っていることでしょう。
反対側からも撮ってみました。手前に見えるケーブルはセンサーなどの測定機器のものでしょうか。 内部は鉄骨むき出しという感じで歩くのもままならないような状況のようです。 反対側の運転室も見えますが、こちらはドアが閉まっているもののガラスがありませんね。 これらの車両があって今日の地下鉄があるのに保存状態はけっしていいとは言えない感じがします。もうちょっと丁重に扱ってもいいように思うのですがね。
今日で休館前最後の開館日となった交通資料館、次回の開館ではどのような変化があるのか、展示車両はどう変化するのかしないのか、この辺りが気になりますが、貴重な車両ですので失われるものがないことを願いたいものです。とくに地下鉄の試験車や世界で唯一という路面気動車が失われることがないことを切に願います。 |
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