
今日は世界的に珍しいものをご紹介です。 トンネルと言えば道路や鉄道用を思い浮かべますし、他にも河川用や電線用などもありますが、今日ご紹介するのは漁船用という世界的にも珍しいもの。 そのトンネルは上ノ国町石崎漁港にある石崎漁港トンネルです。 このトンネル、東洋では唯一、世界的にも珍しい漁船のトンネルで1934年竣工、全長は45mで幅員は9mという道路や鉄道用トンネルでも十分使える大きさのもの。 元々この場所は石崎川河口に当たる場所で特に利用されていなかった場所に港を設けることとなり、その際考案されたのがトンネルで船舶が出入りするというもの。 そのためトンネルが現役だった時代は防波堤で完全に漁港をプールのような状態にして外海と切り離し、出入りはトンネルで行うこととしたため、時化や嵐などの際は漁船の避難所という役割も持っていたんだとか。
しかし漁船の大型化などによりだんだんトンネルが手狭になった結果、新たに水路を築いた上で1983年にトンネルは廃止となりました。
現在はトンネル手前まで埋め立てられているので道路トンネルのように見える状態になっています。
さてこの石崎漁港トンネル、坑門がかなり劣化しコンクリートが落ちている部分もあります。また周囲の岩も崩落してきていて、落石防止ネットは張ってありますが、その脇から漏れた落石がトンネル脇に溜まってきています。ここから見るにもろい地質のようです。クルマなどが転落しないように設置してあるガードレールの内側にいても落盤の際には十分食らってしまいそうな感じがします。
この坑門のアーチを見るとコンクリートブロックを積んで作っていますね。これは内部でも同じ構造で、巻き立て部分がコンクリート、天井部分だけブロック積みとなっています。
崩落のことを言うと、いやいや、坑口脇より内部だろうと写真を見て思うかもしれませんが、トンネルの沖側坑口付近で崩落が発生しています。どうやらここ2、3年で起こったもののようですが、この2、3年前の段階で既にこの崩落が起こっている部分の覆工は剥離していて水がしみ出ている状態ではあったようです。 ただこのトンネルが竣工した昭和一桁という時代はまだまだ素掘りの隧道が一般的だった時代ということを考えると、当時かなり高規格で最新の技術を用いたトンネルだったのではないでしょうかね。おそらく幅員9mというのは当時日本のトンネルでもトップクラスの広さだったのではないでしょうか。
今回沖側の坑口は見ていませんが、あれこれ調べるとどうやら沖側の坑口は陸側よりも厳しい環境にさらされているせいか、よりボロボロになっているようです。
この石崎漁港トンネル、内部は歩けそうな状態でとても漁船が通っていたようには見えませんが、トンネルを廃止したもう1つの理由に、土砂などが堆積しやすく、埋まっては復旧しというのを繰り返していたそうです。
03年に国の登録有形文化財に登録されていますが、周囲も内部も崩落だらけでほったらかし、登録有形文化財に指定はしたけど言うだけ番長的な指定なのでしょうね。 このままの状態だとさらに内部で崩落が起きて閉塞してしまうかもしれません。 世界的にも珍しい船舶用トンネル、メンテナンスをして崩落で潰れてしまわないようには出来ないものでしょうかね。
まあ一方で崩落で潰れてしまうのもまた歴史という見方も出来ますが。 |
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