レカ郎写真記


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...... 2022年04月01日 の日記 ......
■ 函館本線山線廃止について思うこと   [ NO. 2022040101-1 ]

函館本線の山線が事実上廃止になることが決まりました。
新幹線の並行在来線となりJRの経営から切り離されるルールにのっとってのことですが、昨年新しくなった倶知安駅のホームを見て「あ、これは廃線ありきだな」と正直感じました。今までのしっかりとしたホームからいきなりチープな感じの島式ホーム1つだけですからね。倶知安とは思えないホームになっていましたので、どうせ10年もすれば廃止になるから・・・とお金をかけてもらえなかったんだと感じました。

JRは新幹線にご執心ですが、今回の廃止議論でほとんど語られなかった山線の役割に、室蘭本線の迂回路としての役割というものがあります。22年前有珠山が噴火した時室蘭線は長期間不通となり、その間寝台特急から貨物列車まで山線を使って迂回運転してましたよね。山線を廃止にしてしまった場合旅客はとりあえず新幹線があるのでなんとかなるのかもしれませんが、貨物だけはどうにもなりません。かといって貨物が1日運ぶ荷物の量をトラックが代替輸送するとなると一体どれだけのトラックとドライバーが必要になるでしょう。そうなれば長期間北海道と本州の物流が滞ることになるはず。道内完結の貨物輸送もそうですね。山線は貨客輸送の大動脈が断ち切られた時のバイパスになるわけです。
おそらく新幹線札幌延伸までの間既に有珠山は活動期に入ってきていますから1回は噴火するはずです。次の噴火で室蘭線が壊滅的な打撃を受けるようなことになった場合年単位で貨客の輸送が滞ってしまいますがそのことをどこまで考慮しているのでしょう。それとも災害を理由に室蘭本線を日高線や根室路線のように災害復旧せず放置して廃止に追い込むでしょうか?

まさに新幹線様と言った感じで、新幹線のためなら何もかもかなぐり捨てるという雰囲気ですが、では今の特急列車の乗車率は?となるとどうでしょう。4両基本という寂しい特急列車がすっかり多くなってしまいました。コロナ禍というのもありますが、道内完結の特急ですらこれですから、ましてや東京から札幌まで乗りとおすなんて人はどのくらいいるでしょう。初めは物珍しさでいるかもしれませんが、10年後は?20年後は? さてどうでしょう。飛行機も昔と違って随分とお手軽に乗れるようになりました。

今回100kmを超える長大路線が廃線決定となりましたが、小樽ー余市すら残らないというのも問題です。札幌ー余市で通勤通学しているという人もいるはずですが、こういう人たちをバスが運びきれるでしょうか?一体どのくらい時間がかかるでしょう。札樽間を列車に乗り換えて・・・というめんどくさいことをする人もどれだけいるでしょうね? そうなれば存続する札樽間でも旅客が減るのではないでしょうか?余市方面へ行き来する人は高速バスやマイカーに切り替えるという人もいるでしょうし。不便になることで余市方面が札幌との通勤圏から外れてしまい、その結果町民の流出にもつながるかもしれません。マイカー通勤に切り替えるという場合はまだしも、公共交通での通勤の場合便利だから余市との行き来を選択したはずですからね。また駅がなくなる自治体では軒並み地価も下がります。つまりその土地は価値が下がった、価値がないと公的にレッテルを貼られてしまうわけです。

赤字だから廃止と採算性ありきの判断しかされませんが、山線がもつ採算性以外の価値を全く評価されていないというのは問題だなと感じますし、その議論は利用客が不在の議論なのです。何より赤字のことを言えば一番赤字を垂れ流しているのは新幹線様なのでは?と思うんですよね。道内の赤字ローカル線が出す赤字数年分を新幹線は1年で出してしまいますから。美幸線も白糠線もビックリです。新幹線は金もそして電気も食うわけです。
赤字赤字と言いますが、では今までJRは少しでも赤字を軽減させようという努力、具体的には乗ってもらう努力をどこまでしてきたでしょう。これが私鉄なら赤字だと言ってるだけという経営はしていないような気がするんですよね。少しでも利益につなげようと危機感を持って小商いまでして稼ぐのでは?と。今はクラウドファンディングという制度もあります。稼ぐ方法はいくらでも転がっているのです。

それにJRの持ち物で商売道具である鉄路の維持費を自治体に要求するというのはお角違いな話だと思うんですよね。走らせてやるから維持費をよこせ、ウチらは1銭たりとも出さないぞ、そんな話はないのでは?
自治体だってお金があるわけではないですし、鉄道は必要でも鉄道ばかりに予算を割いていられませんんからね。無理難題を押し付けて乱暴な手段で強引に鉄路を手放そうとしてるように私は見えるのです。自治体に維持費を全部負担させる、これはもうJRではなく公営事業者になってしまいます。
この冬の豪雪でJRは「公共交通を担う事業者として」と記者会見で述べていましたが、公共交通を担う事業者という自覚があるなら、強引に鉄路を切り捨てて手離そうとしているのはなぜ?と私は感じました。

本来なら、鉄道は維持しますから存続させていくために沿線自治体と我々が一緒になってどうすればいいか考え実行していきませんか?と提言するのがJRの役割ではないかと思いますし。こういうやる気のない経営スタイルが若手社員の離職にもつながっているのではないかと思うんですよね。自治体だって経営破綻するわけですからJRだって一企業、経営破綻しないなんて保証はありませんし。

利用率からしても普段どれだけ特急を使うかと言えばどうでしょう。普段よく使うのはローカル列車ではないでしょうか。普段着を捨ててよそ行きの服ばかりにしてしまうようなものではないでしょうか。

鉄道だけでなくバス路線もどんどん細っていく北海道、JRがご執心の新幹線からいざ降りたところでその後の足が全くない・・・では困るわけです。公共交通で行けないところがどんどん増えてますからね。
新幹線は他の二次三次交通とのリンクがあって初めて役立つものではないでしょうか。

そもそも新幹線はどれだけの道民が望んだものでしょう。実のところそんなに望む声はないようにも思えるんですよね。ほんとに必要なら新幹線誕生から半世紀以上を経てやっと建設されるなんてことはないでしょうし。望んでいるのはいつでも無責任な経済界など新幹線利権にあずかれるごく一部の層だけなのでは?、そのために払う犠牲はあまりにも大きすぎるのでは?と私は感じます。

さて今日はその00年に有珠山噴火の際迂回運転をしていた臨時北斗のものを。キハ281系やキハ283系もこの時は山線を通ってたんですよね。キハ281系がまだ若かりし頃ですが、山線があったからこそ出来た代替輸送ですが、その恩を忘れて切り捨ててしまう、これはそのうちバチが当たりそうな気がします。

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