
10月1日をもって夕張鉄道の札幌急行線が廃止になります。1956年より運行してきた歴史ある夕張と札幌を結ぶ路線でしたが、人口減少に伴う乗客の減少には勝てなかったようですね。 この他江別経由で新さっぽろ駅ー新夕張駅を結ぶ路線も廃止となります。 こちらの路線は2時間40分前後かけて延々と走る路線で、札幌急行線と異なり、こちらは一般路線車が使われますので、札幌市内で夕張本社所属のクルマが見られる貴重な機会となっていましたが、廃止によってこれもかなわなくなるのでしょうね。
さて札幌急行線、私も何度か利用したことがありますが、夕張までこんなに早く着くんだというほどでした。現在は観光マスクの日野ブルーリボンという変わりダネのクルマが使われていますが、夕鉄としては数少ない都市間路線、そして優等路線でしたので、日野セレガなど観光・高速路線タイプのクルマが使われていたというのが特徴です。 まあ所要時間的に言えば2時間半以上かかる江別経由の方へこれらのクルマを回した方が乗客もドライバーもよかったのかもしれませんけどね。
札幌急行線にも時々本社所属の一般路線車が入ることがあり、私も1度遭遇したことがありましたが、最近この頻度が上がっているような気がします。もしかすると廃止を前に札幌急行線向けのクルマに車検などがやってきて一足先に離脱したクルマが出ているのかもしれません。
この札幌急行線もそうですし、江別経由の路線もそうですが、一般路線という位置づけながら、乗車専用区間や降車専用区間があるというのも面白い点です。どうやら補助金がらみのことのようですが、長沼町内ではあまり自由に乗り降りが出来ない運行形態になっていました。 夕張鉄道の代替路線という意味合いもありましたから、その関係なのでしょうし、だとすると今も鉄道時代をしのばせる路線だったということになるのでしょうね。
確かに見ていると満員で走っているということはまずなく、私が乗車した時でも一番多い時で10人前後しか乗っていなかったので、運行経費やドライバー不足が深刻な現在においてそんな路線に貴重な人材を割くわけにはいかないと判断して廃止を選択したというのは分からなくはないのですが、ただ夕張方面から札幌の病院に通院している人などが使っていそうな感じがしましたので、この方々は置き去りになってしまうんだろうかとか、夕張に住んでいるとハイレベルな医療が受けられなくなってしまうということで夕張を出る人がまた増えてしまうようにも思えるんですよね。
札幌中心部へ通院しているならまだしも、このバスを使って厚別区内、とりわけ新札幌周辺の病院に通っているという方にとっては、代替措置として中央バスの高速ゆうばり号がバス停などを増やし、経路を変えて運行することになっていますが、これだと厚別区は通らず、いきなり札幌都心へ入ってしまいますから、地下鉄やJRで都心と厚別区を行き来しなけれなならなくなります。これを高齢者ができるかと言えばなかなか厳しいようにも思えますから、特に札幌急行線を頼みの綱としていた方々にとってみれば死活問題となってしまうのかもしれませんね。
鉄道もなくなり、そして鉄道の代替路線までなくなり、どんどん札幌とのつながりが断ち切られ続ける夕張、札幌からバスで最速1時間半前後という距離感でありながら感覚的な距離はどんどん遠い場所になっていっている気がします。そしてバスの廃止によって鉄道時代の面影もまた薄れてしまうのでしょう。 一部夕張鉄道の駅舎がバスの待合室で使われているところもありますが、路線廃止でここもどういう処遇になるのかも気になるところです。
そして、用途がなくなる札幌急行線向けの車両はこれで廃車されてしまうことになるのでしょうね。 今日の写真はそんな札幌急行線を撮ったものですが、学校法人出身のこのクルマは09年から札幌急行線を中心に頑張ってきました。セレガのフロントマスクをつけるブルーリボンで、全国的に見てもレアな存在ではないかと思いますが、こちらも廃車されてしまうのでしょうね。 このクルマにも乗ったことがありますが、見た目や車内は高速路線車のようですが、いざ走りだすとエンジン音などがブルーリボンそのもので不思議な感じのするクルマだな〜と終始思いながら乗っていたものです。 |
|