今日はドリーム観光バスから1台ご紹介です。 今日ご紹介するのはドリーム観光バスの札幌201え888.三菱ふそうエアロキングです。 99年式でKC代のこのクルマは元々自家用登録として使われていたもの。おそらく自家用時代に1度撮ったことがあったように思うのですが、ちょっと写真が出て来ませんでした。 ドリーム観光には14年に入籍しています。 エアロキングと言えば国産ダブルデッカー車の代表的な車種で日野がダブルデッカーの製造を早い段階でやめてしまったのに対し、三菱ふそうは近年まで製造し続けていました。ただ、道内での導入例は少なく現在では絶滅危惧種となっています。 そんなエアロキングを昨年行われたバスフェスティバルで展示するとのことだったのでこれは見に行かなければと行って来た模様が今日の記事です。
かつて北海道中央バスで初代エアロキングを定期観光バスで使用していました。この時は定期観光バスに乗れば一般でもエアロキングに乗ることが出来ましたが14年に除籍。以降貸切車でしか存在しなくなってしまったため、昨年のイベントは大変貴重な機会でした。23年のイベントで元定期観光のエアロキングが展示されていましたが、今回は貸切事業者のクルマということでさらに中を見るというのはハードルが高い車両。しかも中央バスのエアロキングと違ってこちらは2代目ですのでこれはこれで貴重な体験となりました。
こちらがドリーム観光のエアロキングです。 初代エアロキングと比べると丸みを帯びた他、スマートになったような印象を受けます。 それにしてもでかいですが、エアロクイーンVのような所謂「2階だけバス」とさほど差はないはずなんですよね。 99年式ですので今年で26年目となりますが全然そんな感じがしません。 一方保存車となっている中央バスの初代エアロキングは85年式ですから今年でなんと40年目、2回目の成人式となります。レトロバスといってもいいような車齢になっていますが、そちらも全然そんな感じには見えないんですよね。なお昨年で定期観光を退いて10年となっています。
リアです。 後ろの方がよりでかさが分かる気がします。フロントは前面ガラス張りという印象ですが、リアは目の前に巨大な壁がそそり立っているような印象です。そして非常口の高さもなかなかです。面白いのは非常口が1階用のものが側面にもあるということ。2カ所非常口があるわけです。 フロントに関して言えばヘッドライトなどが初代に比べるとシャープなデザインになっているので変わったなという感じですが、リアは初代を比較するとさほど差は感じられません。まあこれ以上変えようがないとも言えるんでしょうね。
それにしても後ろ3分の1にエンジンルームやトランクルームなどをよく詰め込めたな〜と感心するばかり。設計の段階でかなり苦労があったんじゃないでしょうか。
後輪が2軸で3軸目も4WSでステアするというのも魅力の1つですし、3軸目もフロントと同じくシングルタイヤとなっているのも面白いですね。これだけの車体にも関らず、ダブルタイヤなのは2軸目だけというのはすごいものです。
では内部を見ていきましょう。
まずは1階ですが、1階は1列目2列目が固定式のボックスシートになっています。さらにこれだけの車両なのにワンステップと言えばいいのか、ノンステップと言えばいいのかという床面ですので、後ろを向いた1列目の後ろにタイヤハウスがボッコリ飛び出しているのが印象的です。ノンステップバスと同じような感じですね。 そして通路が細い!通常の路線バスよりもかなり通路が狭いですね。
この他このボックスシート部分のさらに後ろには正席が数列ついていました。
そして噂には聞いたことがありましたがとにかく天井が低い。175cmの私ですが頭を低くしないと天井に余裕でぶつかります。バスの天井に頭がぶつかるというのはある意味貴重な経験ですね。 座席に座るまで頭をかがめておかなければならないのでなかなか立って歩く分にはきつい車両です。180cm190cmなんて人はさらにきついでしょうね。
運転席です。
ここだけ見るとエアロバスやエアロキング、それどころかエアロスターにも見えます。 今となってはちょっと古めかしい感じのするバックモニターで新車から26年という歳月を感じます。
続いては2階へ通じる階段部分です。
中ドアが開くと目の前にあるという感じです。 中ドアから見ているのにその先にある座席が1階の最後尾というのが面白い構造ですね。 それにしてもこのエアロキングはとにかく段が多く、今バスに求められるバリアフリーというものを微塵も感じないのが逆にいいですね。まさに客を選ぶバスというわけです。 段差の問題だけでなく、走ることが出来ない箇所もあるようで、そのためエアロキングで注文が入っても行先や走行ルートによってはルートの変更や発注自体お断りしなければならないこともあるんだとか。この辺りも客を選ぶバスというわけです。 そういうこともあってか導入が進まなかったクルマなんでしょうね。 やはり事業者としては使い勝手のいいクルマの方がいいでしょうし、使い勝手が悪いとその分稼働率も落ちますから、他のクルマに比べて導入コストから維持費がかかるのに稼ぎが少ないクルマでは困ってしまいますからね。 ただ普通の車両にはない魅力をダブルデッカー車は持っていると私は感じます。
最後に2階です。
2階も1階ほどではありませんが天井がやはり低いです。まあ公道を走ることができる規格というものがあってそれに合わせて詰め込み詰め込みでダブルデッカーを作っているわけですから当然こうなりますよね。 天井を1階も2階も余裕で立って歩ける高さにするとなればバスの背丈がさらに高くなってトンネルどころか歩道橋の下や踏切すら通過できなくなってしまいますからね。
ここだけ見ると普通のバスのようにも見えますが、このダブルデッカーのメインとしては2階なのでしょう。 ただ通常のバスのような感じがするものの、前を見ると運転席も出入口も見当たらないという車内はなかなか見ることが出来ないでしょうね。
ダブルデッカーは通常のバスを2つ重ねたような感じで定員が多いのかと思いきや、1階の収容力が極端に低いのでそうでもないんだな〜という印象を受けました。 ダブルデッカー故の決定的なメリットと言えば2階からの景色がいいというぐらいになってしまうんでしょうかね。それもエアロクイーンVなどで補うことができるので決定打にはならないのかもしれません。 ドライバー的にはこうしたエアロキングやクイーンVのような低運転席は正面衝突の際運転席に直撃するのでドライバーからは敬遠されるという話を聞いたことがありますし、そうしたこともあって導入が少ないのでしょうね。
このドリーム観光ではこのクルマの他もう1台エアロキングを保有していますがどちらも経年車というのが気になるところ。 道内では導入数が少なく、ましてや貸切車のエアロキングなんてなかなか車内を見ることが出来ないため貴重な経験となりました。 私自身ダブルデッカーの車内を見たのは初めてでしたし。 現在国産のダブルデッカーは生産されていないため、バンホールのアストロメガで導入している事業者がありますが、こうしたクルマが移籍中古などでそのうち北海道にも回ってくることは果たしてあるんでしょうかね。 |
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