今日は静態保存されているSLを
道内でもあちらこちらにSLが展示されていますが、一方でDLの保存などがほとんどないということから、SLの大きな存在を改めて感じてしまいます。 そんな静態保存されているSLのうちの1つが長沼町のながぬまコミュニティ公園にある夕張鉄道25号です。
このカマは大正10年生まれのカマで元々は国鉄で導入した9600形を夕鉄に譲渡したもの。 川崎造船兵庫工場製ということで、ここでも時代を感じてしまいますが、解説の看板によると導入時の値段が約2600万とのこと。そう言われてみるとSLの値段って意外と知らなかったなと改めて思ったんですが、1台2千万オーバー、今だと路線バス1台分といった感じですが、製造当時は大正ですから大正時代の2600万と言えば今で言うと億単位なのは言うまでもないものの、20億とか30億とか、あるいはもっと高いとかそんな感じになってしまうのではないでしょうかね。
元々このカマは49694号として製造され、室蘭本線を中心に活躍していたようですが、そうなると2千トン列車なども牽引していたことがあるんでしょうかね。かつては炭車の長大編成を引いていたことでしょう。
1961年に夕鉄入りしているようですが、1975年夕鉄の鉄道事業廃止によりこのカマも廃車となっているるようです。 1975年と言えば国鉄でもSLが消えた年ですが、同じ年に夕鉄が消えているというのも石炭の需要と夕張の衰退を物語っているような感じがします。石炭を運ぶための夕鉄と石炭輸送を長らく支えてきたSLの廃止なわけですからね。
廃車から1年ほどでこの地に保存されているようですが、長沼に保存されて今年で41年、一方で現役時代は54年に渡るようですので、まだ現役時代の方が長いということになりますね。でも50年以上も使う車両って今はちょっとないですね。でも使えば使えるわけです。
以前はかなり状態が悪かったようですが、比較的近年塗り直しなどの補修を行ったようでこのように細部まできれいな状態となっており、今にも動き出しそうな感じにさえ見えるほどです。 ナンバープレートの上にある標識、ちょっと光って見えないんですがもしかすると架線注意の標識でしょうか。ここも塗り直し前の画像を調べてみると錆びついていたようですが、今はきれいになっています。こういうところまでこだわってリニューアルされるのはちょっと珍しいかもしれませんね。
パークゴルフ場の中にあるんですが、ボールがカマの下に入らぬようオレンジのネットが回してあるものの、今はオレンジ色も退色して目立たなくなっています。 でもこんなところをパークゴルフ場にしなくても・・・とは思いますが。
すぐそばには腕木式信号機も保存されていて、こちらもきれいに塗り直されていました。 バックの木はすでに枯れ木になっていますが、紅葉の時期などは結構いい感じになるのではないでしょうかね。
キャブには今も使われている夕鉄の紋章もしっかりつけられ、こちらも塗り直しされていました。
もうまもなく100歳を迎えるこのカマ、動態となる日はもうないでしょうけど、せめて荒廃のため解体ということがないようにこれからもこの地でこの姿を見せ続けてほしいものです。 |
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