レカ郎写真記


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...... 2022年04月29日 の日記 ......
■ 幻の車両   [ NO. 2022042901-1 ]



先日雪が解けたら見に行ってみようと思っていた幻の車両を見に行ってみました。
それは札幌市営地下鉄東西線の試験車両。地下鉄の試験車両と言えば交通資料館に展示されている「すずかけ」や「はるにれ」といった車両かと思いますが、実は東西線用の車両にも知る人ぞ知る幻の試験車両が存在していました。

東西線用の車両を開発するにあたり、従来の南北線用の、当時は2000系とは全く違った車両とするため試験車両が必要だったのです。南北線では第三軌条方式での集電だったものがパンタグラフ式になったり、車両自体も大きくなり、2ドアから3ドアに、そして半永久連結による2両1ユニット方式も不採用となり、制御方式もサイリスタチョッパ方式となったため試作車が必要だったわけですが、ただ南北線開発の時と違うのは、既に案内軌道式というのは確率されており、南北線の時のような試作車までは必要としなかったため、1両のみの製造となっています。

あまり写真も残っていない車両のようですが、いくつか現役の写真を見ると、かつて札苗試験場ではるにれが試験していた時のような変わったホイールを履いている姿もあれば、ジャッキスタンドの上に乗せられている写真もあり、また6000系と同様のホイールを履いている写真もあるという不思議な車両だったようです。

この車両は東西線建設前に試験していましたので、東西線では当然試験できませんので、南北線で試験を繰り返していたようです。
つまり東西線用というカテゴリーに含めるなら、東西線の車両ながら第三軌条方式の集電方法だったというレアな車両になるわけですね。

試験終了後に廃車となり、なぜか札幌ではなく石狩市内で倉庫だった時代を経て、現在は会社事務所として使われていますが、窓に見える試運転ステッカーのみが当時のままとなっています。

当然床下の機器類や足回りはありません。しかし札幌の地下鉄は屋根の強度が弱く、屋外保存が利かないため、屋外保存に耐えうる強度を持つ地下鉄の1号編成や各種試験車以外すべて解体されていますので、その中で残る貴重な保存・・・というか現存車両ということになりますね。

正面のデザインは妻面に簡易運転台を備えた車両のような感じではありますが、窓の配置やライト類の形状は2000系の色を残している感じです。特にテールライトは2000系そのものといった感じですので、同じ部品を流用しているのでしょう。ヘッドライトは抜かれてストーブの煙突を出すのに使われているのでどんなものだったのか見ることはできません。

なんか中間車が1両だけゴロンと置いてあるような印象ですが、このスタイルが現在の車両にも受け継がれているんですよね。

にしてもこんな貴重な車両、本来なら交通資料館に保存するか、試験車両ですから企業秘密といった技術がてんこ盛りのはずなので解体するかになるはずですが、そんな車両を民間に払い下げるというのは今では考えられないことですね。

それに倉庫のあと事務所でさらに再利用、そして現在も残っている、これは受け継いだそれぞれの企業もこれが何者なのかを知った上であえて利用しているのでは?つまり、それなりにお好きな方なのではないかと私は思うんですよね。でなければ事務所にするにしてもこんなボロボロになった車両にこだわらずとも、スーパーハウスなどで用が足りるわけですしそっちの方が快適でしょうし。事務所としてはけして使い勝手がいいとは言えないでしょうしね。

にも拘わらず、今まで解体されずに来れたのはある意味この車両は強運の持ち主なのでしょうね。外だけでなく中もどうなっているのか、どの程度装置が残っているのか見てみたいものです。

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